大蔵経の歴史と未来

中外日報 2009/09/15
http://www.chugainippoh.co.jp/

大蔵経の歴史と未来
中外日報 2009/09/15
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2年後の2011年は高麗版大蔵経(初雕版)の彫造が始まってちょうど1000年に当たる。佐伯弘次九州大学教授によれば、室町時代に朝鮮からもたらされた版本大蔵経は50セットに及ぶだろう、という。室町幕府の歴代将軍や九州探題大内氏ら有力守護大名、朝鮮と関係が深い対馬の宗氏などが使節を仕立て、あるいはそれらの名をかたる者が"偽使"を送り込み、朝鮮国王に大蔵経を請求したのである。
 先ごろ東京大学で開かれたシンポジウム「大蔵経と東アジア世界」で研究発表した橋本雄北海道大学准教授は、この大蔵経請求に要した経費を検討している。そこで挙げられた例によれば、長禄四年(1460)、美濃一宮の請経船がもたらした大蔵経に対し、使節派遣の名義人である足利義政に美濃守護土岐氏が納めた御礼が五十貫文だったという。一貫文10万円として約500万円だ。
 他方、朝鮮側としては使節に対する下賜・贈物であった。比較的気前よく(?)大蔵経を与えていたのは、佐伯教授によると、当時の朝鮮では儒教が主流で仏教が軽んじられていたという事情もあったようだ。 日本における版本大蔵経の嚆矢は江戸初期の天海版(木活字版)で、その後、黄檗宗の鉄眼道光が隠元禅師から授けられた明版(万暦版)大蔵経をもとに版木を制作し、その版本が広い範囲に流布した。
 国の重要文化財に指定されている鉄眼版の版木は現在も経本印刷に用いられており、版木を所蔵している黄檗塔頭宝蔵院のホームページによると、初刷から今日まで累計で2000余の一切経が印刷されたという。
 一方、高麗版は周知の通り、わが国の大正新脩大蔵経の底本とされる。その大正新脩大蔵経は最近、仏教界から広く支援を得てデータベース化され、仏教研究の新たな未来を切り開こうとしている。壱岐の安国寺(臨済宗大徳寺派)は、摺写寄進の施主によって巻末に墨書発願文が記された高麗初雕版大般若経を所蔵している。データベース化された大蔵経という古いテキストには新たな可能性が開かれている。その歩みを期待しつつ注目してゆきたい。

ちなみに真如苑が関わっているデータベース関係団体としては

公益財団法人国際宗教研究所宗教情報リサーチセンター
RIRC(宗教情報リサーチセンター、略称「ラーク」)は、新聞(全国紙・地方紙)や雑誌の宗教関連記事の収集と公開、教団情報・教団刊行物の収集と公開などを通じて、現代宗教に関する幅広い情報の収集、及び分析を行っています。

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