作家 ダン・ブラウン氏 科学と宗教の共存を追求

作家 ダン・ブラウン氏 科学と宗教の共存を追求
日経新聞 2010/03/07
http://www.nikkei.co.jp/
「ロスト・シンボル」が発売された。「科学を知れば知るほど、宗教を信じるようになっていく」。最新作は科学と宗教の共存関係をテーマにした。きっかけは10年前の「ノエティック・サイエンス」との出会いだった。人間の祈りや願望が物質に変化をもたらすことを科学的に実証しようとする研究だ。この分野への理解を深めようと、あらゆる関連文献や実験報告を読破し、10年がかりで作品に仕上げた。
 母親は聖歌隊の指導者、父親は数学教師。宗教も科学も身近な環境で育った。宇宙の成立に関するビッグバン理論を知ったダン少年は、聖書の記述との違いを牧師に質問してみたが、「いい子はそういう質問をしないものだ」と一蹴されたのが原因で宗教から離れていった。その後科学に心酔していくが、「深く勉強するほど、宗教に似てくると感じていた」。この違和感を解消したのが、ノエスティック・サイエンスとの出会いだった。その研究が正しいとすれば、祈祷などの宗教的な行為には実質的な意味があったことになる。「何世紀にもわたって、科学と宗教は異なった言語を使って、同じことを伝えようとしていた」。