シーア派聖地ナジャフ

シーア派聖地ナジャフ イライラ戦争 日200体/湾岸戦争 倍増
朝日新聞 2010/01/15
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イラク中部のイスラムシーア派聖地ナジャフにある「ワディ・サラーム(平和の谷)」という墓地には、500万基ともいわれる墓が並んでおり、千年以上をかけて広がってきた。信者たちは初代イマーム(宗教指導者)であるアリの霊廟近くに葬られることを望むという。
墓地の入り口には埋葬人の事務所が100軒ほど並んでおり、アブサイバ家は約300年前から埋葬を請け負ってきた家系である。埋葬は、遺体を洗浄する人、墓穴を掘る人、棺をつくる大工、墓石をつくる石材屋の分業となっており、埋葬人は作業全体を監督する役目で、埋葬に立ち会う宗教者の手配や墓の管理なども担う。
埋葬人ナジャ・アブサイバさんによると、イラク戦争では多いときには一日200人もの兵士の遺体がやってきたという。湾岸戦争の際には倍となり、イラク戦後のシーア派スンニ派の抗争では一日150〜200が運ばれたとのこと。また、バヤーン・アブサイバさんは、イラン・イラク戦争の際、「イスラム教徒同士が戦うのは間違い」だとし、墓地の地下室に潜んでいたという。
イラク戦争後の2004年には、占領した米軍と反米宗教指導者率いるシーア派民兵マフディ軍が墓地で戦った。墓地にはマフディ軍が「殉教者」らを埋葬する区画がある。さらに、墓地には番号と埋葬の日付だけが刻まれた墓石が並ぶ、身元不明者の区画もある。
埋葬人には1体につき、2万ディナール(約1500円)が支払われるのみ。

イスラム教の埋葬法》
埋葬人ザイダンさんによると、埋葬はすべてイスラムの教えに従う。
遺体が届くとすぐに墓地の洗浄室で、ハスから採る液としょうのうを入れた水で全身を洗う。
手のつめ、足のつめを切ったあと、全身を白い布で覆い、納棺。
墓穴は深さ2メートルで、頭部がメッカに向かうよう掘られる。